この記事では、新築住宅はオール電化・ガス併用どっちがお得か解説していきます。
新築住宅を購入する上で、オール電化とガス併用どちらにするかは多くの人が悩むポイントです。中でも料金を重視する人は少なくありません。
結論、初期費用はオール電化のほうが高い一方、ランニングコストはガス併用のほうがかかる場合もあるといえます。
この記事では、オール電化・ガス併用それぞれの料金やメリットも解説していきます。新築住宅をオール電化とガス併用のどちらにするか悩んでいる人はぜひこの記事を最後までお読みください。
【この記事でわかること】 ・そもそも新築におけるオール電化・ガス併用とは? ・【料金比較】新築住宅はオール電化・ガス併用どっちがお得か ・新築住宅をオール電化にするメリット・デメリット ・新築住宅をガス併用にするメリット・デメリット ・新築住宅のオール電化・ガス併用が向いている人の特徴 |
そもそも新築におけるオール電化・ガス併用とは?
新築住宅の購入を検討する際には、家のエネルギー供給方法として”オール電化”と”ガス併用”の2つの選択肢があります。
オール電化とは、家の中で使用するエネルギー源を全て電気に統一することです。暖房や調理、お湯など、生活に必要なエネルギーを全て電気で賄う方式です。オール電化の家では、ガスは一切使用しません。
一方、ガス併用とは電気とガスの両方をエネルギー源として使用する家を指します。ガス併用の家では、調理にはガスコンロを使用し、暖房やお湯の供給には電気を使用するなど、用途ごとにエネルギー源を選択します。
【料金比較】新築住宅はオール電化・ガス併用どっちがお得か
ここでは、オール電化とガス併用のどちらがより経済的にお得なのか、初期費用とランニングコストを表で比較していきます。
初期費用について比較すると以下の表の通りです。
オール電化 | ガス併用 | |
初期費用の目安 | 50〜80万円 | 20〜40万円 |
オール電化はIHクッキングヒーターやエコキュートなどの設備にかかる費用が高い一方、ガス併用はガスコンロやガス給湯器などの設備投資は安いといえます。
次に、ランニングコストを比較すると以下の通りです。ただし、表の料金は以下の条件で算出しています。
- 都心エリアの住宅
- 都市ガスの1m³あたりのエネルギー量は約11.2kWh
- プロパンガスの1m³あたりのエネルギー量は約24kWh
電気料金 (60A契約) | 都市ガス (使用量30㎥/月) | プロパンガス | |
基本料金 | 1,771円 | 1,056円 | 1,859円 |
1kWhあたりの料金 | ・午前6時〜翌午前1時:35.96円 ・午前1時〜午前6時:28.06円 | 約13.00円 | 約25.67円 |
※2024年2月現在
※参考1:スマートライフS|電気料金プラン|東京電力エナジーパートナー株式会社
※参考2:ガス料金表 東京地区等 一般契約料金(B表)|東京ガス株式会社
※参考3:一般小売価格 LP(プロパン)ガス 確報|一般財団法人日本エネルギー経済研究所石油情報センター
基本料金や1kWhあたりの料金を比較すると電気料金のほうが高いため、ガス併用にしたほうがお得に見えます。しかし、ガス併用の場合は基本料金が電気とガスの両方でかかる一方、オール電化の場合は基本料金が電気だけのため、トータルコストを比較する際は注意が必要です。
オール電化とガス併用のどちらがお得かは、家族のライフスタイルや住んでいる地域の電気・ガスの料金体系、さらにはエネルギーの使用量によって変動します。
初期費用はオール電化のほうが高くなる傾向にありますが、ランニングコストに関しては電気料金の割引プランの有無や、ガスをどれだけ使用するかによって大きく変動します。
お得かどうかだけではなく、安全性や使い勝手、環境への配慮も考えて最適な選択をすることが重要です。
新築住宅をオール電化にするメリット
ここでは、新築住宅をオール電化にする3つのメリットを解説します。
- 光熱費の支払いを一本化できる
- 火事などの災害が起こりにくい
- IHクッキングヒーターの掃除がラク
順番に見ていきましょう。
光熱費の支払いを一本化できる
新築住宅をオール電化にすると、電気のみで家中のエネルギーが賄えるため、光熱費の支払いを電力会社1本にまとめられます。
毎月の支払い管理が簡単になり、ガス代と電気代を別々に支払う手間が省けます。管理がシンプルになるだけでなく、電力会社からの割引制度をフル活用できる可能性もあります。
火事などの災害が起こりにくい
オール電化の住宅では、調理に火を使わないIHクッキングヒーターや、給湯器にも電気を使用します。火を使わないことで、火事のリスクが大幅に減少します。
また、ガス漏れによる爆発の心配もなく、安心して生活することが可能です。家族の安全を第一に考える場合、オール電化は非常に魅力的な選択肢といえます。
IHクッキングヒーターの掃除がラク
IHクッキングヒーターの掃除がラクな点も、オール電化にするメリットです。
オール電化住宅のキッチンでは、IHクッキングヒーターが主流です。IHクッキングヒーターは平らなガラストップでできているため、食材がこぼれたときもひと拭きできれいになります。
IHクッキングヒーターは煮こぼれても焦げつきにくく、ガスコンロのように炎で直接加熱する方式と比べて、掃除の手間が格段に少なくなります。忙しい日常生活の中で、掃除の負担を減らせる点は大きなメリットです。
新築住宅をオール電化にするデメリット
ここでは、新築住宅をオール電化にすることの3つのデメリットを解説します。
- 生活状況によっては電気代が高くなる
- 初期費用やメンテナンス費用が高くなる
- 停電時に設備が使用できなくなる
順番に見ていきましょう。
生活状況によっては電気代が高くなる
生活状況によって電気代が高くなってしまう点が、オール電化のデメリットです。
オール電化住宅では、暖房や調理、給湯など全てのエネルギーを電気で賄います。一般的に電気はガスに比べて料金が高いため、家族の人数が多い家庭や、電気を多く使用する生活をしている場合には、光熱費が高くなる傾向があります。
特に冬場の暖房を電気で行う地域では、電気代の増加が顕著になることも少なくありません。
初期費用やメンテナンス費用が高くなる
オール電化設備の導入には、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの機器が必要です。設備の初期費用は、ガス給湯器やガスコンロに比べて高額になることもあります。
また、オール電化設備のメンテナンス費用も、長期的に見ると高くなる傾向にあります。定期的な点検や、部品交換が必要になることも考慮しなければなりません。
停電時に設備が使用できなくなる
停電時に全ての家庭用設備が使用できなくなることも、オール電化のデメリットです。
ガスと電気の併用住宅であれば、停電時でもガスコンロで調理をすることが可能です。しかし、オール電化住宅で自家発電できない場合は、調理や給湯が一切できなくなります。
特に災害が起きやすい地域に住んでいる場合、大きなリスクを抱えることになります。
新築住宅をガス併用にするメリット
ここでは新築住宅をガス併用にするメリットを3つ解説します。
- 火力が強い
- オール電化よりも初期費用が安い
- 停電時でも一部の設備が使用できる
順番に見ていきましょう。
火力が強い
ガス併用の大きなメリットは、調理器具の火力が強いことです。
ガスコンロは瞬時に高温になり火加減の調整がしやすいため、料理の幅が広がります。特に炒め物や揚げ物など、強火が必要な料理をよく作る家庭では、ガスコンロが適しています。
火力の強さは料理の味を左右することもあるため、料理にこだわりのある人はガス併用のほうが良いといえます。
オール電化よりも初期費用が安い
初期費用がオール電化に比べて安いケースが多い点も、ガス併用のメリットです。
オール電化にするためには、IHクッキングヒーターやエコキュートなどの高価な設備を導入する必要があります。設備投資が初期費用を押し上げる大きな要因です。
一方、ガス併用の場合は高価な設備を設置する必要がないため、初期費用を低く抑えることが可能です。
停電時でも一部の設備が使用できる
停電が発生した場合、オール電化の住宅では家の中のほとんどの設備が使用できなくなります。一方でガス併用の住宅では、ガスコンロは電気がなくても使用できます。※一部ガスコンロは使用不可
ガス併用の場合は、災害時などの緊急事態でも暖かい食事を準備したりお湯を沸かしたりすることが可能です。災害時の備えとして、停電時でも一部の設備が使用できることは大きなメリットです。
新築住宅をガス併用にするデメリット
ここでは、新築住宅をガス併用にするデメリットを3つ解説します。
- プロパンガスの場合は光熱費が高くなる
- 火事やガス漏れのリスクが高まる
- 基本料金が別途発生する
順番に見ていきましょう。
プロパンガスの場合は光熱費が高くなる
プロパンガスの場合は光熱費が高くなる点が、ガス併用のデメリットです。
都市ガスが利用できない地域では、プロパンガスが代替として使われます。プロパンガスは都市ガスに比べて単価が高いため、光熱費が高額になる可能性があります。
特に、冬場の暖房やお湯の使用量が多い家庭ではガスの使用量が大きいため、光熱費の差が大きくなるでしょう。
光熱費のコストを事前に把握し、住宅購入時の予算計画に反映させることが重要です。
火事やガス漏れのリスクが高まる
ガス併用住宅では、ガスを使用することによる火事やガス漏れのリスクがあります。誤った使い方や設備の不具合が原因で、重大な事故につながるおそれもあります。
定期的にメンテナンスしたり正しい方法でガス機器を使用することで事故のリスクを軽減できます。しかし、火事やガス漏れのリスクが完全になくなるわけではない点がガス併用のデメリットです。
基本料金が別途発生する
ガスを使用する家庭では、使用量にかかわらず基本料金が発生します。基本料金はガス設備を利用するための固定費用として、月々の光熱費に加算されます。
オール電化住宅の場合は電気の基本料金のみですが、ガス併用の場合はガスの基本料金が加わるため、トータルで光熱費が高くなる傾向があります。
ガス使用量によって基本料金は変わらないため、ガスの使用量が少ない家庭ではガス併用のほうが光熱費が高くなるリスクが高いといえます。
新築住宅のオール電化・ガス併用が向いている人の特徴
新築住宅を建てる際オール電化とガス併用のどちらを選択するかは、住む人の価値観やライフスタイルによって異なります。
オール電化が向いている人の特徴は、主に以下の通りです。
- 環境意識が高い人
- 料金の支払いをシンプルにしたい人
- 安全性を重視する人
オール電化では、再生可能エネルギーで発電した電気を使用する場合、環境に優しい生活を実現できます。また、光熱費の支払いを電気一本に集約できるため、毎月の管理が簡単になります。火事やガス漏れのリスクを低減したい人も、オール電化が向いています。
ガス併用が向いている人の特徴は、主に以下の通りです。
- 料理を楽しみたい人
- 初期費用を抑えたい人
- 停電時の備えを重視する人
ガス併用では、ガスコンロを使用した強火での調理が可能であるため、料理の幅が広がります。また、オール電化に比べてガス併用のほうが初期費用を安く抑えられる場合が多いといえます。
ガスは電気がなくても使用できる設備があるので、非常時でも一定の生活機能を維持したい人も、ガス併用が向いています。
上記の特徴を踏まえつつ、自分の生活スタイルや家族構成、住む地域の環境などのさまざまな要素を考慮して選択することが大切です。
新築住宅のオール電化・ガス併用は自分に合ったほうを選ぼう
新築住宅でオール電化とガス併用のどちらを選択するかは、住む人のライフスタイルや価値観、住む地域の環境によって異なります。家族のニーズや優先順位に合わせて、それぞれのメリット・デメリットを慎重に検討することが大切です。
また、新築住宅でオール電化とガス併用のどちらが良いか悩んだときは、ビルダーやハウスメーカーに相談することもおすすめです。豊富な実績を基にしたアドバイスが期待できます。