家づくり

住宅ローンを多めに借りることは可能?オーバーローンのデメリットも解説

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この記事では、住宅ローンを多めに借りること(オーバーローン)は可能なのか、ケースに分けて解説していきます。

結論、ローンに対して金融機関で定められている資金使途に当てはまる場合は、多めに借りることも可能です。

この記事では、住宅ローンを多めに借りるメリット・デメリットを解説します。多めに借りる際に注意すべきことも解説していくので、手元資金を残すために住宅ローンを多めに借りられないか悩んでいる人はぜひ最後までお読みください。

【この記事でわかること】
住宅ローンを多めに借りることはできるのか
住宅ローンを多めに借りるメリット・デメリット
住宅ローンを多めに借りる場合の注意点

住宅ローンを多めに借りることはできるのか?

住宅ローンを多めに借りることは基本的には困難です。ただし、特定の条件下では例外的に可能な場合があります。

金融機関は、住宅購入資金以外の用途に使うためのローンを提供することには慎重です。実際、住宅ローンとして提供されているローンの資金使途は、住宅購入やリフォームなどに限定されているケースがほとんどです。

ただし、資金使途などの条件を満たす場合には、多めに借りることが認められるケースもあります。

オーバーローンで多めに借りられるケース

オーバーローンで住宅ローンを多めに借りられるケースとして、以下の2つが挙げられます。

  • 諸費用を組み込むとき
  • リフォーム資金にするとき

それぞれのケースを順番に解説していきます。

諸費用を組み込むとき

住宅を購入する際には、登記費用や手数料などの諸費用が発生します。諸費用を住宅ローンに組み込むことで、多めに借りられる場合があります。

発生する諸費用の項目は、以下の通りです。

  • 火災・地震保険料
  • 保証料
  • 仲介手数料
  • 印紙税
  • 引越費用

新築の場合は物件価格の3〜7%前後、中古の場合は物件価格の6〜10%前後が諸費用の目安です。ただし、金融機関によっては組み込める諸費用の項目が限定されている場合もあるので、事前に確認が必要です。

リフォーム資金にするとき

住宅購入と同時にリフォームを行う場合、その費用を住宅ローンに組み込むことが可能なケースもあります。

中古住宅の場合、リフォームすることを前提として購入するケースもあります。住宅ローンとリフォームローンを別々で組んでしまうと、資金管理の手間がかかったり、リフォームローンで高い金利を支払わなければならなかったりするでしょう。

手間や金銭を節約できるよう、リフォーム費用も住宅ローンに組み込めるプランが存在します。リフォームの内容や費用の詳細を金融機関に提示し、審査を受ける必要があります。

オーバーローンで多めに借りられないケース

オーバーローンで住宅ローンを多めに借りられないケースとして、以下の2つが挙げられます。

  • 借りた資金を運用するとき
  • 車や家具などの購入に充てるとき

順番に詳しく解説していきます。

借りた資金を運用するとき

住宅ローンで得た資金を、投資や運用に回すことは認められません。

金融機関は、住宅ローンの目的が住宅の購入やその関連費用に限られると明確に定めています。そのため、以下の用途に資金を使うことは禁止されています。

  • 株式や投資信託の購入
  • 副業や事業資金

住宅ローンの資金を株式や投資信託、その他の金融商品には投資できません。資金使途の条件を満たさないほか、投資にはリスクが伴い元本が保証されないため認められないでしょう。

金利が安いからといって、住宅ローンの資金を副業や新たなビジネスの立ち上げ資金としても使用できません。事業資金は、事業ローンやその他の適切な融資手段を利用する必要があります。

車や家具などの購入に充てるとき

住宅ローンを利用して、車や家具などの購入費用に充てることもできません。以下の用途については、住宅ローンの資金を使うことは不可能です。

  • 自動車の購入
  • 家具や家電の購入
  • 日常生活費

車の購入資金は、住宅ローンではなく自動車ローンや個人向けのローンを利用する必要があります。住宅ローンはあくまで住宅関連の資金に限定されます。

また、新居に必要な家具や家電の購入費用も、住宅ローンの対象外です。家具家電の購入費用は、クレジットカードや消費者金融のローンなどを利用することが一般的です。

さらに、住宅購入後の日常生活費や娯楽費用として住宅ローンの資金を使うことも認められていません。生活費は自己資金や別のローンを利用することが必要です。

住宅ローンを多めに借りるメリット

ここでは、条件を満たした場合に住宅ローンを多めに借りるメリットを紹介します。

  • 手元の現金が減らない
  • 低金利で資金を調達できる
  • 住宅ローン控除の節税効果が高まる
  • 自己資金が少なくてもマイホームが手に入る

上記の4つを順番に見ていきましょう。

手元の現金が減らない

住宅ローンを多めに借りると、手元に残る現金が多くなります。突発的な支出にも対応でき、心理的な安心感にもつながります。

手元に現金を多く残しておけば、急な出費や予期せぬトラブルにも対応しやすいでしょう。例えば、突然家の修理が必要になったり家族に医療費が発生したりした場合でも、余裕を持って対応できます。

経済的な不安を軽減され、精神的にも余裕を持って新生活をスタートさせられるでしょう。

また、引越しに伴い、家具や家電の購入、引越し費用などさまざまな出費が発生します。手元の現金が減らないことで、費用をスムーズにカバーできます。

低金利で資金を調達できる

住宅ローンは、他のローンに比べて金利が低く設定されていることが一般的です。低金利を利用して資金を多めに調達することで、返済負担を抑えられるメリットがあります。

住宅ローンの低金利を利用することで、他の高金利なローンを利用するよりも総支払額を抑えられます。リフォームを予定している場合、金利が比較的高いリフォームローンでなく低金利の住宅ローンを活用すれば、利息の負担を軽減することが可能です。

また、住宅ローンには、大きく分けて固定金利と変動金利の2つがあります。低金利のうちに全期間固定金利や、最初の数年間だけ固定金利の住宅ローンを選択すれば、将来的な金利上昇のリスクを回避できます。

毎月の返済額が安定し、家計の計画を立てやすくなるでしょう。

住宅ローン控除の節税効果が高まる

住宅ローンを利用すると、一定の条件を満たすことで住宅ローン控除を受けられます。

住宅ローン控除とは、年末のローン残高の0.7%を所得税や住民税から最大13年間控除する制度です。多めに借りることで、控除の対象が増え、結果として控除額も増加します。

住宅ローン控除は最大13年にわたって適用されるため、多めに借りた場合、その控除効果が長期間にわたって続きます。毎年の所得税の負担を大きく軽減できるでしょう。

※参考:住宅:住宅ローン減税|国土交通省

自己資金が少なくてもマイホームが手に入る

住宅を購入する際は、頭金や諸費用などの現金で必要な項目は数多くあり、多額の自己資金を準備するのは困難な場合があります。

住宅ローンを多めに借りれば頭金を少なくでき、マイホームを手に入れることが可能になります。さらに、住宅購入の初期費用を抑えられれば、自己資金を他に必要な経費や現金で必要な費用に回せるようになります。

引越しや新生活に必要な費用を手元に残しておくことで、生活の安定感が増すでしょう。

自己資金が限られている場合でも、住宅ローンを多めに借りることで、より多くの住宅を選択肢に入れられます。希望する地域や条件に合った物件を購入できる可能性が高まります。

住宅ローンを多めに借りるデメリット

ここでは、住宅ローンを多めに借りることのデメリットを紹介します。

  • 返済負担・利息負担が大きくなる
  • 借入金利が高くなるおそれがある
  • 家を売却してもローンを完済できないおそれがある

順番に詳しく見ていきましょう。

返済負担・利息負担が大きくなる

住宅ローンを多めに借りると、毎月の返済額や総返済額が増加します。

毎月の返済額が増えると、家計にかかる負担が増し、生活費を圧迫したり余裕資金が減少したりするでしょう。

借入額が多いと、返済期間中に支払う利息の総額も増えます。住宅ローンは金利が低い点が特徴ですが、元金が大きければその分利息も多く支払うことになり、トータルの返済負担が重くなります。

借入金利が高くなるおそれがある

住宅ローンを多めに借りることで、借入金利が高くなるリスクがあります。

なぜなら、借入額が増えることで、金融機関は貸し倒れリスクを考慮して金利を高く設定するからです。すると借入金利が上昇し、返済負担が増加します。

また、金利変動リスクにも注意が必要です。変動金利の基準となる短期プライムレートは、日本銀行の政策金利に連動しています。

変動金利で住宅ローンを組んだ場合、低金利であるうちは利息負担が抑えられています。しかし、日本銀行の政策金利が上昇し、短期プライムレートが上昇すると、変動金利が高まるおそれがあります。

借入額が大きいほど、金利が高くなったときの返済負担は大きくなりやすいため、借入金利の上昇には注意が必要です。

家を売却してもローンを完済できないおそれがある

住宅ローンを多めに借りることで、将来的に住宅を売却する際にローンを完済できないおそれがあります。

売却時に購入時よりも住宅価格が大幅に下落した場合、売却価格がローンの残高を下回るおそれがあります。オーバーローンを検討する際は、売却益とローン残高の差額は自己資金で穴埋めする必要がある点に注意が必要です。

住宅ローンを多めに借りる場合の注意点

ここでは、住宅ローンを多めに借りる場合に注意したいポイントについて解説していきます。

  • 契約違反となる使い方をしない
  • 返済負担率が高すぎないか確認する

上記の2つを順番に見ていきましょう。

契約違反となる使い方をしない

住宅ローンを借りる際には、金融機関によって資金使途が厳格に定められています。契約違反となる使い方をしないことが非常に重要です。

住宅ローンの資金は、基本的に住宅の購入や関連費用に使うことが条件となっています。定められていない用途、例えば投資や事業資金、車の購入などに使うことは契約違反です。

契約違反したときに起こることとして、以下の2つが挙げられます。

  • 一括返済の要求される
  • 違約金を請求される

契約違反が発覚すると、金融機関は借入金の一括返済を要求することがあります。大きな経済的負担となり、最悪の場合、家を失うことにもなりかねません。

契約違反に対するペナルティとして、違約金が発生することもあります。経済的な負担がさらに増加し、生活が苦しくなるでしょう。

契約違反を起こさないために、事前に契約内容をしっかりと確認し、何に資金を使えるのかを明確にしておきましょう。不明点があれば、金融機関に確認することが重要です。

返済負担率が高すぎないか確認する

住宅ローンを多めに借りると毎月の返済額が増えるため、返済負担率(年収に対する返済額の割合)をしっかりと確認することが重要です。

一般的には、返済負担率が年収の30%を超えないようにすることが推奨されています。30%を超えると、家計が圧迫されるリスクが高まります。

返済計画を立てる際は、自分の収入と支出を洗い出した上で、無理なく返済できるかを確認しましょう。返済期間中に収入が減少するリスクや、予期せぬ大きな出費が発生した場合にも対応できるよう、余裕のある計画を立てることが重要です。

住宅ローンを多めに借りることに関するよくある質問

ここでは、住宅ローンを多めに借りることに関するよくある質問を紹介します。

  • オーバーローンが金融機関にバレたらどうなる?
  • 建築会社とは別業者で外構工事しても住宅ローンに組み込める?

順番に回答します。

不適切なオーバーローンが金融機関にバレたらどうなる?

不適切なオーバーローンが金融機関にバレたら、まずは一括返済を求められます。その後、契約違反に対するペナルティとして、追加の費用や違約金が発生することがあります。

金融機関との関係も悪化し、ローン返済の交渉に応じてもらえなくなるリスクや、将来的に他のローンを組む際に不利になるリスクがあります。

悪質な場合には法的措置が取られ、裁判などの法的手続きが必要になるでしょう。

建築会社とは別業者で外構工事しても住宅ローンに組み込める?

住宅の購入や建築の際に、建築会社とは別の業者に外構工事を依頼するケースがあります。

金融機関によっては、外構工事の費用を住宅ローンに組み込むことが認められる場合があります。ただし、すべての金融機関が対応しているわけではないため、事前に確認が必要です。

外構工事を行う場合、その費用の見積もりを金融機関に提出する必要があります。住宅の建築会社とは別業者に依頼する場合も、正確で工事内容が明確な見積もりを提出することが重要です。

住宅の建築会社や金融機関に確認した上で、別業者で外構工事し住宅ローンに組み込むか検討しましょう。

住宅ローンを多めに借りるなら正しい使い方を遵守することが重要

住宅ローンは、金融機関によって定められた資金使途の条件を満たせば多めに借りることが可能です。諸費用や、中古住宅の購入と同時に発生するリフォーム費用は適切な資金使途として認められるケースが多くあります。

ただし、金融機関によって条件は異なるため、専門家に相談することをおすすめします。

住宅ローンを借りる場合、正しい使い方を遵守することが必要です。新居への引越し費用や資産運用・副業などを目的として住宅ローンを購入することは、契約違反となるおそれがあります。

契約違反になると、残債の一括返済や違約金を請求されるリスクもあるので、資金使途には十分注意しましょう。

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