この記事では、借金がある人でも住宅ローンを組めるのか解説します。
借金ありの住宅ローン審査では、主に種類や返済額が見られます。税金やクレジットカードの支払いを滞納・延滞していたり、持病があることも審査に落ちてしまう原因になるでしょう。
この記事では、住宅ローン審査のポイントや注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。
【この記事でわかること】 ●借金ありでも住宅ローンは組めるのか ●借金ありの住宅ローン審査で見られるポイント ●借金ありで住宅ローン審査に落ちてしまう原因 ●借金ありの人が住宅ローン審査を受けるときの注意点 ●住宅ローン審査で借金があることはバレるのか |
借金ありでも住宅ローンは組めるのか

結論として、借金があっても住宅ローン自体は組めます。自動車ローンや教育ローンなど、他の借金を抱えている場合でも、審査を通過するケースは珍しくありません。
金融機関が最も重視するのは、借金を抱えた状態でも住宅ローンを無理なく返済できる返済能力があるかどうかです。
ただし、借金があること自体は審査上のマイナス要因に繋がるため、全く影響を及ぼさないわけではありません。借金の総額や種類、返済状況によっては審査で断られる場合もあります。
また、過去に滞納や延滞があった場合は信用情報に影響を及ぼし、審査が厳しくなることもあるでしょう。
借金ありの住宅ローン審査で見られるポイント

ここでは、借金がある場合の住宅ローン審査で見られるポイントを解説します。
- 借金の種類
- 借金の返済額
順番に見ていきましょう。
借金の種類
住宅ローン審査では、借金の種類について審査されるでしょう。審査では、借金の残高だけでなく、借入先や用途についても詳しく確認される場合があります。
たとえば、自動車ローンや教育ローンなどの明確な用途がある一般的な借入については、審査で問題視されることはほとんどありません。
一方で、使途がはっきりしないキャッシングが多い場合や、消費者金融からの高額な借入がある場合は、審査に悪影響を及ぼすおそれがあります。
借金の返済額
借金の返済額も、住宅ローン審査で見られるポイントです。
住宅ローン審査では、返済負担率と呼ばれる、年収に対する返済額の割合が重視されます。この割合が適正範囲に収まっているかどうかが、審査の重要な基準となります。
一般的に、無理のない返済負担率は25%以内とされています。
しかし、住宅ローンの返済額に既存の借金総額を合計した結果、この基準を大きく超える場合には、審査に悪影響を及ぼすおそれがあるでしょう。
借金ありで住宅ローン審査に落ちてしまう原因

ここでは、借金がある人が住宅ローン審査に落ちてしまう原因を解説します。
- 税金やクレジットカードの支払いを滞納・延滞している
- 個人信用情報に異動の記録がある
- 返済負担率の基準を超えている
- 持病が審査に影響している
順番に見ていきましょう。
税金やクレジットカードの支払いを滞納・延滞している
税金やクレジットカードの支払いを滞納・延滞している場合、住宅ローン審査に落ちる確率が高くなります。
特に、税金の滞納は金融機関にとって大きなリスクとみなされます。なぜなら、税金は住宅ローンよりも優先して回収されるからです。未納の状態では、審査に通るのが難しくなるでしょう。
税金の未納がある場合は、役所に相談して分割払いなどで解消することが重要です。
なお、クレジットカードの延滞も信用情報に記録され、審査に影響を与えます。催促後に支払っても延滞扱いとなるため、期日を厳守した支払いを心掛ける必要があります。
個人信用情報に異動の記録がある
個人信用情報に異動の記録がある場合も、住宅ローン審査に落ちてしまう原因の1つです。
個人信用情報とは、ローンやクレジットカードの契約内容や返済状況が記録されたもので、住宅ローンの審査ではこれをもとに返済能力を判断します。
具体的に公表はされていませんが、一般的に61日以上、または3ヶ月以上の支払い遅れがあると、異動として記録されるケースが多いといえます。
これは、債権がクレジットカード会社や回収会社に異動したことを意味し、いわゆる”ブラックリスト”に載った状態となります。
他にも、代位弁済や任意整理、自己破産などの債務整理を行った場合にも異動記録が残ります。
一度異動として記録されると、完済後も一定期間その情報が残り、審査において返済能力が低いと判断される可能性が高くなります。
返済負担率の基準を超えている
返済負担率の基準を超えている場合も、住宅ローン審査に落ちてしまう原因の1つです。
返済負担率とは、年収に対する借金の年間返済額の割合を指し、住宅ローン審査で重要視される指標です。
この割合が高いと、住宅ローンを返済する余裕がないと判断される可能性があります。
たとえば、年収500万円の人が年間で返済する借金総額が125万円の場合、返済負担率は以下のとおり計算されます。
125万円(年間返済額) ÷ 500万円(年収) × 100 = 25%(返済負担率) |
この程度であれば、無理のない範囲だとされることが一般的です。しかし、この基準が30%や40%となると、審査では家計への負担が大きすぎるとみなされるおそれがあります。
持病が審査に影響している
持病が審査に影響している場合も、住宅ローン審査に落ちてしまう原因の1つです。
多くの金融機関では、住宅ローンを契約する際に団体信用生命保険(団信)への加入が義務付けられています。
団信は、契約者が死亡や高度障がいといった状況に陥った際に、住宅ローンの返済を肩代わりするための保険です。
健康状態に問題があると団信への加入が難しくなり、結果的に住宅ローンを利用できなくなる場合があります。
借金ありの人が住宅ローン審査を受けるときの注意点

ここでは、借金がある人が住宅ローン審査を受けるときの注意点を解説します。
- 可能な限り借金を返済しておく
- なるべく自己資金を用意する
- 返済期間を長く設定する
- 難しい場合は家づくりを延期する
順番に見ていきましょう。
可能な限り借金を返済しておく
当然ではありますが、住宅ローン審査を受ける前に借金を返済することが、審査に通るための第一歩となります。
一時的に返済額を増やして借金を減らしたり、可能であれば完済したりすることで、返済負担率を下げられるでしょう。これにより、返済能力があると判断され、審査を通過しやすくなる可能性が高まります。
クレジットカードローンを完済した場合、その情報が信用情報に反映されるまでには1〜2ヶ月程度かかることがあります。
一方、キャッシングローンの場合は翌日までに反映されることもあります。これらの情報が更新されるタイミングを見計らって申し込むことで、審査の通過率を上げることが期待できます。
なるべく自己資金を用意する
借金がある場合は難しいかと思われますが、もし少しでも預貯金がある場合は無理のない範囲で自己資金を使って頭金を増やすことで、住宅ローンの借入額を抑えられます。
これにより、返済負担率を30〜35%以下に抑えることにも繋がるでしょう。
返済期間を長く設定する
借金がある場合、可能な限り住宅ローンの返済期間を長く設定することも重要です。
返済期間を延ばすことで月々の返済額を抑え、返済負担率を基準内に収めることが可能になる場合もあります。
たとえば、長期優良住宅を建てた場合、住宅金融支援機構が運営するフラット50などであれば、最長50年の返済期間が設定できる商品も利用できます。
長期ローンを利用することで、返済計画を立て直せる可能性があるでしょう。
難しい場合は家づくりを延期する
借金の返済に追われ、どうしても余裕がない場合は家づくりを延期するのも手段の1つです。
返済負担率を下げる方法や、信用情報の改善を試みても審査に通らない場合、無理に住宅ローンを組もうとせずに計画を見直すことも非常に重要です。
現在の借金がいつ返済可能になるかを逆算し、タイミングに合わせて住宅購入計画を立て直すことを推奨します。
家づくりを延期することで、長期的に見ればより安定した返済計画が立てられる可能性があります。
住宅ローン審査で借金があることはバレるのか

結論として、住宅ローン審査で借金があることは明らかになるといえます。ほとんどの金融機関は、審査の段階で個人信用情報機関に対して開示請求を行い、申請者の信用情報を確認します。
開示情報には、過去の借入状況や返済履歴、延滞記録などが詳細に記載されています。
これにより、現在の借金だけでなく、過去の延滞履歴や、未払いの有無も金融機関に把握される仕組みになっています。
借金を隠そうとしても、信用情報の開示で明らかになるので正直に申告することが重要です。
借金を隠した場合のリスク
借金を隠した場合のリスクとして、審査で不利になるだけでなく、さまざまなリスクが生じるおそれもあります。
金融機関は個人信用情報を照会するため、申告内容と異なる借入が判明すると審査にはまず通しません。仮に、審査に通ったとしても、発覚した段階で契約解除となるでしょう。
最悪のケースでは、その時点で一括返済を求められるリスクもあるので、審査時は必ず正直に申告することが大切です。
なお、団体信用生命保険で病歴を偽ると告知義務違反となり、保険が適用されなくなるリスクもあります。
住宅ローン審査と借金に関するよくある質問

最後に、住宅ローン審査と借金に関するよくある質問を紹介します。
- 借金は住宅ローンに上乗せできる?
- 配偶者(妻・夫)に借金があっても住宅ローン審査に影響する?
- 借金ありでも住宅ローン審査に通りやすい金融機関はどこ?
疑問の解消にお役立てください。
借金は住宅ローンに上乗せできる?
借金を住宅ローンに上乗せすることはできません。なぜなら、住宅ローンは住宅購入に特化したローンで、他の借入金を含めることは原則認められていないからです。
既存の借金がある場合は、住宅ローンとは別に返済計画を立てる必要があります。
配偶者(妻・夫)に借金があっても住宅ローン審査に影響する?
配偶者(妻・夫)に借金があっても、一方の住宅ローン審査に影響はありません。なぜなら、金融機関は申込者本人以外の信用情報を調査することはほとんどないからです。
また、同居している親族であっても、申込者以外の借入状況が審査対象となることは通常ありません。
そのため、配偶者や家族が多額の借金を抱えていても、申込者本人に問題がなければ、住宅ローン審査には問題なく通ります。
ただし、家族の年収を合算して住宅ローンを申し込む場合には、配偶者や家族の借金も審査対象となる点に注意が必要です。
借金ありでも住宅ローン審査に通りやすい金融機関はどこ?
借金ありでも住宅ローン審査に通りやすい金融機関は、個人の条件によって変わります。
住宅ローンは高額かつ長期間の融資であるため、どの金融機関でも必ず審査が行われます。しかし、住宅ローンの審査基準は金融機関ごとに異なります。
一部の銀行では収入や勤続年数を重視する一方で、別の銀行では過去の借り入れ履歴や返済負担率を優先的に確認する場合があるでしょう。
このような違いから、とある金融機関で審査に通らなくても、別の金融機関では通る可能性も考えられます。
借金ありで住宅ローンを組むなら無理のない返済計画が重要

借金がある場合でも、一般的に住宅ローンを組むことは可能です。
ただし、借金の返済負担率が高いと審査に通りにくくなるため、事前に借入状況を整理し、返済負担を軽減することが重要です。
税金やクレジットカードの滞納がある場合は審査に悪影響を与えるため、早急に解消する必要があります。
また、借金の種類や返済履歴も審査のポイントとなるため、信用情報に問題がないか確認することが大切です。
借金がある場合でも、無理のない返済計画を立てることで住宅ローンを組むことは可能です。