
この記事では、戸建ての2階が暑くなる原因について解説します。
戸建ての2階が暑くなるのは、屋根からの輻射熱や断熱・気密性の不足など、さまざまな事象が要因しています。こうした状態を放置すると、冷房の効きが悪くなったり、睡眠の質が下がったりと、生活全体に悪影響を及ぼす可能性もあるでしょう。
この記事では、戸建ての2階が暑くなる原因に加えて、対策も徹底解説します。2階の暑さに悩んでいる人は、ぜひ参考にして下さい。
この記事でわかること ● 戸建ての2階はなぜ暑くなるのか ● 新築時にできる戸建ての2階の暑さ対策 ● 新築後に戸建ての2階を涼しくする方法 ● 戸建ての2階が暑いときのよくある疑問 ● 戸建ての2階が暑いときは状況に応じた対策が必要 |
戸建ての2階はなぜ暑くなるのか

ここでは、戸建ての2階が暑くなる4つの原因について解説します。
- 暖かい空気が2階に上がりやすいため
- 家の気密性や断熱性が不十分なため
- 自然光の照り返しが生じるため
- 屋根からの輻射熱が生じるため
暖かい空気が2階に上がりやすいため
暖かい空気は上にのぼる性質があるため、2階に熱がたまりやすくなります。空気は暖められると膨張し、密度が下がって軽くなります。
その結果、下の階で発生した熱が自然と2階へ移動し、室温を上げてしまうでしょう。
特に、階段や吹き抜けのある家では、こうした空気の流れが起こりやすく、2階が暑く感じられる要因の1つとなっています。
家の気密性や断熱性が不十分なため
気密性や断熱性が低い家では、外の熱気が室内に入りやすく、冷房の効果も弱まりがちです。戸建ては、壁や屋根が外気に触れる面積が多く、熱の影響を受けやすい傾向にあります。
断熱材が十分でない場合、外の暑さがそのまま2階に伝わり、室温が高くなってしまいます。これらの住宅構造が、2階の暑さを引き起こす原因の1つだといえるでしょう。
自然光の照り返しが生じるため
日中、太陽光が窓から差し込むことで、室内の温度は上がります。さらに、ベランダの床や外壁に当たった光が反射して、窓際の温度をさらに高める場合もあるでしょう。
特に、南向きの大きな窓がある部屋では日差しの影響が強く、2階全体が熱を持ちやすくなります。このように、自然光による照り返しも暑さの要因となっています。
屋根からの輻射熱が生じるため
屋根は建物の中でも太陽に最も近く、強い直射日光を受けます。そのため、屋根の表面温度は高くなり、屋根裏に熱がこもります。
この熱は、やがて2階の天井や壁を通じて室内に伝わり、部屋全体の温度を上げてしまいます。
また、屋根の素材や色によってはさらに熱を吸収しやすくなり、2階が特に暑く感じられることがあるでしょう。
新築時にできる戸建ての2階の暑さ対策

ここでは、新築時に意識したい戸建ての2階の暑さ対策を4つ紹介します。
- 天井や壁に断熱材を入れる
- 二重窓や複層ガラスを採用する
- 空気の通り道を意識して間取りを決める
- シーリングファンや換気排熱ファンを取り入れる
天井や壁に断熱材を入れる
断熱材をしっかり入れることで、外からの熱が室内に伝わりにくくなります。特に、天井や屋根の周辺は日差しの影響を強く受けるため、重点的に断熱を強化したい部分です。
たとえば、屋根裏に高性能の断熱材を施工すれば、2階の室温の上昇を抑えられるでしょう。建築時に断熱計画をきちんと立てることが、暑さ対策の基本になります。
翼創建では「ダブル断熱工法(DCP WALL)」を採用しています。これは、柱の間に入れる「充填断熱」と、壁の外側から覆う「外張断熱」を組み合わせた高性能な断熱構造です。
この工法により、熱が通りやすい柱部分での断熱の弱さを補い、壁内の結露も起こりにくくなります。また、気密性も高まり、快適な室温を保ちやすい住まいを実現できます。
二重窓や複層ガラスを採用する
窓は、家の中で最も熱の出入りが多い場所の1つといえます。そのため、窓の断熱性も高めることが重要です。
新築時なら、断熱性能の高い複層ガラスや二重窓を取り入れるのがおすすめです。ガラスの間に空気の層ができることで、外の熱が伝わりにくくなります。
快適さを保ちつつ、冷房の効率も向上できるでしょう。
翼創建が取り入れている「LIXIL TW」は、Low-E複層ガラスと樹脂フレームを組み合わせた高断熱仕様のハイブリッド窓です。アルゴンガス入りの中空層により、熱の出入りを約30%抑え、ガラス端の結露も防ぎます。
フレームも熱を通しにくい多層構造になっており、外気温の影響を最小限にとどめながら、明るく開放感のある室内空間を実現します。
空気の通り道を意識して間取りを決める
空気が流れることで、室温の上昇をやわらげる効果があります。そのため、家全体の通気を考えた間取りにすることが重要です。
たとえば、窓を向かい合わせに配置したり、階段や吹き抜けを利用して上にたまった空気を逃がしたりする工夫が役立ちます。
建築前の段階で通風を意識しておけば、2階の暑さも抑えやすくなるでしょう。
シーリングファンや換気排熱ファンを取り入れる
室内の空気を効率良く動かすには、機械的なサポートも有効です。たとえば、シーリングファンを設置すれば上にたまった暖かい空気をかき回して室温のムラを減らせます。
また、屋根裏の熱気を外に逃がす換気排熱ファンも、2階の温度上昇を防ぐ手助けになります。
いずれも新築時に設置しておくことで、後からの工事を避けられ、効果も高まるでしょう。
新築後に戸建ての2階を涼しくする方法

ここでは、戸建ての2階を涼しくする方法として、新築後でもできる4つの効果的な工夫を紹介します。
- 定期的に換気する
- 遮光性が高いカーテンを取り付ける
- サーキュレーターを設置する
- ベランダに打ち水をする
戸建ての購入後に「2階が思ったより暑い」と感じることは少なくありません。しかしながら、工事を伴わなくても、日常の中で取り入れられる暑さ対策はあります。
定期的に換気する
室内にこもった熱を外に逃がすには、定期的な換気が効果的です。窓を2箇所開けて空気の通り道をつくれば、停滞した空気を動かし、室温が下がりやすくなるでしょう。
たとえば、風が入る側の窓は小さく開け、風が抜ける側は大きく開けると、空気が流れやすくなります。建物の構造に関係なく取り入れやすい、シンプルかつ効果的な方法です。
遮光性が高いカーテンを取り付ける
強い日差しが室内温度を上げる原因になるため、遮光性の高いカーテンを使うのは有効な対策です。厚手のカーテンや遮熱機能のある生地を選べば、日差しの影響をしっかり抑えられます。
また、部屋の明るさを保ちたい場合には、断熱・遮熱フィルムを窓に貼るのもおすすめです。いずれも手軽に取り入れやすく、効果の高い工夫です。
サーキュレーターを設置する
エアコンを使っていても「部屋がなかなか涼しくならない」と感じる場合は、サーキュレーターの併用が役立ちます。
空気の流れをつくることで、冷気を部屋全体に届けやすくなります。特に、エアコンの対角線上に置いて風を送ると、効率よく空気が循環します。
扇風機でも代用でき、電源さえあればすぐに試せる対策です。
ベランダに打ち水をする
暑さを和らげる昔ながらの方法として、ベランダでの打ち水も効果的です。水が蒸発する際に地面の熱を奪う「気化熱」の働きによって周囲の温度が下がり、体感温度も下がるでしょう。
気温が落ち着き始める夕方に行うと、より効果が出やすくなります。道具も特別なものは必要なく、気軽に始められるシンプルな方法です。
戸建ての2階が暑いときのよくある疑問

ここでは、戸建ての2階が暑いときのよくある疑問と回答を紹介します。
- 暑さ対策には天井断熱と換気排熱ファンのどちらがおすすめ?
- 鉄骨造の戸建ては木造より暑くなりやすいって本当?
- 2階の暖かい空気を1階に送るにはどうすればよい?
暑さ対策には天井断熱と換気排熱ファンのどちらがおすすめ?
暑さ対策において、天井断熱と換気排熱ファンのどちらが優れているかは断言できません。
ただし、どちらか1つを選ぶなら、まずは天井断熱がおすすめです。なぜなら、天井から入ってくる熱を防げると、室内の温度が上がりにくくなるからです。
断熱は家の基本的な性能に関わるため、最初にしっかり整えておくことが大切です。
また、換気排熱ファンは、たまった熱を外に逃がす設備です。屋根裏の熱ごもりを減らすのに効果的で、断熱と組み合わせると暑さ対策としてさらに力を発揮するでしょう。
どちらも暑さ対策に有効で、迷ったときはまず断熱から考えるのがよいでしょう。
鉄骨造の戸建ては木造より暑くなりやすいって本当?
鉄骨造の家は、木造に比べて暑く感じやすいことがあります。なぜなら、鉄は熱を伝えやすく、太陽の熱がより室内に伝わりやすいからです。
ただし、断熱対策がしっかりされていれば鉄骨造でも快適に過ごせます。暑さを防ぐには、構造の違いだけでなく、断熱の工夫が重要です。
2階の暖かい空気を1階に送るにはどうすればよい?
空気の流れをつくることで、2階の暖かい空気を1階に送れます。空気は自然と上にのぼるため、下に戻すには工夫が必要です。
サーキュレーターやシーリングファンで風を下向きに送ると、空気がうまく循環するでしょう。
特に階段の上部に風を送るようにすると、2階にたまった暖かい空気を1階に運びやすくなります。このように、風の流れを意識した使い方がポイントです。
戸建ての2階が暑いときは状況に応じた対策が必要

戸建ての2階が暑くなるのは、空気の性質や建物の構造、日差しや屋根の影響など、複数の要因が重なっているためです。
どの対策が適しているかは、家の状態や生活スタイルによって異なります。新築前であれば、断熱材や窓の仕様、空気の流れを考えた設計が有効です。
新築後であれば、換気や遮光、サーキュレーターの活用など日常でできる工夫もあります。暑さの原因を正しく知り、状況に合わせた対策を選ぶことで、2階の快適さは大きく変わります。