本記事では、住宅ローン審査の流れについて解説します。
住宅ローンの本審査を受ける前には、事前審査に通過する必要があります。事前審査に通過した後に、本審査に申し込むことが可能です。本審査では、運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類や、給与明細などの収入証明書が必要です。
住宅ローン審査に通過するための対策として、頭金を多く用意することや、他社からの借入をあらかじめ返済しておくことなどが考えられます。
この記事では、住宅ローン審査の流れに加えて、必要書類や対策についても解説します。ぜひ、参考にしてください。
【この記事でわかること】 ● 住宅ローン審査の流れ6ステップ ● 住宅ローン審査で重視される基準 ● 住宅ローン審査で必要な書類 |
住宅ローン審査の流れ6ステップ
住宅ローン審査は大きく6つのステップに分けられます。ここでは、各ステップの内容やポイントを詳しく解説します。
- ステップ1.事前審査(仮審査)に申し込む
- ステップ2.事前審査を受ける
- ステップ3.本審査に申し込む
- ステップ4.本審査を受ける
- ステップ5.金銭消費貸借契約(金消契約)を締結する
- ステップ6.融資が実行される
順番に見ていきましょう。
ステップ1.事前審査(仮審査)に申し込む
住宅ローンの最初の一歩は、事前審査への申し込みです。事前審査は、購入予定の物件に対して「自分が住宅ローンを利用できるのかどうか」を判断してもらうためのものです。
物件の購入前に行うため、売買契約前にローンの目安を把握できます。申し込み時に必要な情報は、年収や勤務先、購入予定の物件価格などの基本的な内容が中心です。
ステップ2.事前審査を受ける
申し込み後、金融機関が審査を進めます。この段階では、借入希望者の大まかな返済能力や信用情報をチェックします。事前審査に通過すれば、次の本審査に進むことが可能です。
金融機関によって審査基準が異なるため、希望に合った複数の金融機関に申し込むことも検討しましょう。
ステップ3.本審査に申し込む
事前審査に通過したら、次に本審査の申し込みを行います。本審査では、事前審査よりも詳細な情報を基に、最終的な融資可否が判断されます。
必要書類は事前にリストアップして準備しておきましょう。この記事でも、詳しくまとめているのでぜひチェックしてください。
ステップ4.本審査を受ける
本審査では、返済能力だけでなく、購入予定物件の価値や担保としての適性が厳しく評価されます。また、借入希望者の信用情報についても、詳細なチェックが行われます。
金融機関による審査には通常1〜2週間程度かかりますが、混雑時期や書類不備があるとさらに時間がかかる場合があります。審査中に追加書類の提出を求められることがあるため、すぐに対応できるよう準備しておきましょう。
ステップ5.金銭消費貸借契約(金消契約)を締結する
本審査に通過したら、いよいよ正式な契約を結ぶ段階です。この契約は、借入金額や返済条件を正式に取り決めるステップです。
契約締結後は、ローンを解約することが難しくなるため、内容をしっかり確認しておきましょう。
契約締結時には実印や印鑑証明書が必要です。契約内容について疑問点があれば、納得いくまで金融機関の担当者に確認を取ることが重要です。
ステップ6.融資が実行される
金消契約が完了すると、融資の実行です。融資実行日に借入金が売主や不動産会社へ振り込まれることで、住宅の購入が正式に完了します。
通常、融資実行日は物件の引き渡し日に合わせて設定されます。実行日までに手続きが完了している必要があるため、余裕を持ったスケジュール管理が重要です。
住宅ローン審査で重視される基準
住宅ローン審査で重視される基準は以下のとおりです。
項目 | 説明 |
年収 | 安定した高収入であるほど、返済能力が高いと判断される。 |
勤続年数 | 現在の勤務先での就業期間。 |
雇用形態 | 正社員であることが、安定した収入の指標と見なされることが多い。 |
年齢 | 借入時の年齢と完済時の年齢。高齢での借入は返済期間が短くなるため、審査が厳しくなる傾向がある。 |
他の債務状況 | 既存の借入が多い場合、返済負担が増えるため、審査に影響を及ぼす。 |
信用情報 | 信用情報機関に登録されている過去の返済履歴や延滞情報。延滞や債務整理の履歴があると、審査にマイナスの影響を与えるおそれがある。 |
自己資金の額 | 頭金として用意できる自己資金の額。自己資金が多いほど、借入額が減少し、返済負担が軽減されるため、審査に有利に働く。 |
購入物件の評価 | 物件の価値が高く、将来的な資産価値が見込める場合、金融機関はリスクが低いと判断します。 |
健康状態 | 健康上の問題がある場合、団体信用生命保険への加入が難しくなることがあり、審査に影響を及ぼすことがある。 |
※参考:令和5年度 民間住宅ローンの実態に関する調査 結果報告書|国土交通省 住宅局
特に、年収や信用情報は融資の判断に直接関わってくる重要な要素です。年収が高ければ高いほど、返済能力が高いと判断されます。
また、延滞や債務整理の記録があると、融資が否決されるおそれがあります。そのため、信用情報にキズがつかないような生活を心がけましょう。
住宅ローン審査で必要な書類
ここでは、住宅ローン審査で必要な書類について解説します。
- 事前審査の必要書類
- 本審査の必要書類
上記2点について、詳しく見ていきましょう。
事前審査の必要書類
事前審査の必要書類は以下のとおりです。
書類 | 説明 |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、またはパスポートなど(事前審査と同様)。 |
収入証明書 | 源泉徴収票(会社員の場合)または確定申告書(自営業者の場合)。 |
物件情報(仮の場合も可) | 購入予定物件の概要資料(販売図面や価格表などがあればベスト)。 |
借入情報の申告 | 他に借入がある場合は、借入金額や返済状況がわかる資料(口頭での申告が認められる場合も)。 |
事前審査は仮審査とも呼ばれ、申込者の返済能力を簡易的に判断するために行われます。書類の種類は比較的少なく、審査もスピーディーです。
ただし、書類に不備があると時間がかかってしまう場合があるため、しっかりと準備することが重要です。
本審査の必要書類
住宅ローン本審査の必要書類は以下のとおりです。
書類 | 説明 |
本人確認書類 | 運転免許証、マイナンバーカード、またはパスポートなど(事前審査と同様)。 |
収入証明書 | 最新の源泉徴収票、直近3か月分の給与明細書、確定申告書(自営業の場合)。 |
購入物件に関する資料 | 売買契約書、重要事項説明書、物件の図面、不動産会社が提供する見積書など。 |
預貯金の残高証明書 | 自己資金の証明として金融機関から発行された残高証明書。 |
印鑑証明書 | 市区町村で発行される正式な印鑑証明書。 |
団体信用生命保険の申込書 | 金融機関指定の団体信用生命保険に加入するための書類。 |
健康状態に関する申告書 | 団体信用生命保険加入の際に必要な健康状態申告書。 |
借入に関する情報 | 他のローンの契約書や返済予定表など、既存の借入状況がわかる書類。 |
書類が揃っていないと審査が遅れるおそれがあるので、事前にリストを作り、必要書類をしっかり準備しましょう。特に本審査では、金融機関ごとに細かい要求が異なる場合があるため、申し込み前に確認することをおすすめします。
住宅ローン審査に通過するための対策
ここからは、住宅ローン審査に通過するための対策を解説します。
- なるべく頭金を多めに用意して借入額を減らす
- 提出書類に正しく記入できているか確認する
- 他からの借入を完済する
上記の3点について、順番に見ていきましょう。
なるべく頭金を多めに用意して借入額を減らす
頭金を多めに用意すると、借入金額が減り、金融機関にとってのリスクが軽減できます。また、自己資金の比率が高いほど、審査では有利です。
頭金は物件価格の20%程度を用意するのが理想的といえます。あらかじめ資金計画を立て、コツコツと貯金するのがおすすめです。
提出書類に正しく記入できているか確認する
書類の不備や記入ミスがあると、審査が遅れたり、場合によっては否決の原因になったりすることがあります。
- 住所や氏名が正式なものか
- 年収や勤務先情報が正確で最新のものであるか
- 必要な署名や押印が漏れていないか
上記のようなポイントを確認しておくことで、ミスを減らせます。
他からの借入を完済する
他の借入が多いと返済負担率が高くなり、住宅ローン審査に悪影響を及ぼします。特にクレジットカードのリボ払いや消費者金融からの借入がある場合は注意が必要です。
他のローンが残っている場合は、審査の前に完済しておくことがおすすめです。
住宅ローン審査に落ちてしまったときの対処法
ここからは、住宅ローン審査に落ちてしまったときの対処法について解説します。
- 他の金融機関に申し込む
- フラット35を利用する
- 時間をかけて条件を改善する
上記3つの対処法について詳しく見ていきましょう。
他の金融機関に申し込む
各金融機関によって審査基準が異なるため、他の金融機関では審査に通る可能性があります。特に保証会社が異なる金融機関に申し込むと、基準が変わることがあります。
申し込みの回数が多すぎると信用情報に影響するため、一度に複数社を申し込むのは避けましょう。事前に担当者に相談して、審査基準や条件を確認するのも有効です。
フラット35を利用する
フラット35は、住宅金融支援機構と民間金融機関が提携した住宅ローンです。審査基準が独自であり、他のローンより柔軟な場合があります。
物件がフラット35の基準を満たしているか、不動産会社にも確認してもらいましょう。
ただし、フラット35の金利は変動金利型の住宅ローンより高めであるケースがあります。あらかじめ、他の金融機関の金利について調べておきましょう。
時間をかけて条件を改善する
審査に通らなかった理由を見極め、条件を改善することで、次回の審査に通過する可能性が高まります。
収入を増やすために転職や副業を検討することや、延滞履歴や過去の借入を解消し、信用情報機関で確認することが有効です。
住宅ローン審査に関するよくある質問
最後に、住宅ローン審査に関するよくある質問を紹介します。
- 住宅ローンの事前審査(仮審査)で落ちる確率は?
- 住宅ローンの事前審査にかかる期間が長いと落ちる?
- 住宅ローンの仮審査は通ったのに本審査で落ちる理由は?
疑問の解消にお役立てください。
住宅ローンの事前審査(仮審査)で落ちる確率は?
一般的には、事前審査で落ちる確率は10〜20%程度と言われています。金融機関や申込者の条件によって異なりますが、事前審査は簡易的な審査であるため、落ちる確率は本審査よりも低いです。
年収や雇用形態が金融機関の基準に達していないことや、信用情報に延滞歴や債務整理の記録があることなどが事前審査に落ちる原因です。
住宅ローンの事前審査にかかる期間が長いと落ちる?
審査期間が長いからといって、必ずしも落ちるわけではありません。審査に時間がかかる理由としては、申込者の状況や金融機関側の事情があります。
提出書類の不備や記入ミスがあった場合や、他のローンや借入状況についての詳細な確認が必要な場合は、審査期間が伸びることがあります。
住宅ローンの仮審査は通ったのに本審査で落ちる理由は?
仮審査で通過したにもかかわらず、本審査で落ちることはあります。これは、本審査がより詳細で厳しい審査を行うためです。
仮審査では申込者の返済能力が重視される一方で、本審査では購入予定物件の担保価値も厳しくチェックされます。仮審査後に転職や収入減少があった場合、本審査で問題になることがあるため、注意が必要です。
住宅ローン審査の流れやポイントを把握して少しでも通しやすくしよう
この記事では、住宅ローン審査の流れについて解説しました。
事前審査と本審査では必要書類が異なります。書類に不備があると、審査に落ちてしまったり、時間がかかってしまったりする場合があります。しっかりと揃えておくことがおすすめです。
審査に通過するためには、他からの借入を完済することや、書類の見直しが重要です。この記事で解説したポイントを押さえたうえで、審査に臨むことをおすすめします。