この記事では、二世帯住宅の完全分離型で失敗した事例を解説します。
完全分離型の二世帯住宅とは、1つの家のなかで親世帯と子世帯の生活場所が完全に分かれている住宅のことです。玄関やキッチン、風呂なども、共有ではなくそれぞれの家で独立しています。
この記事では、二世帯住宅の完全分離型のメリット・デメリットや後悔しないためのポイントを解説します。二世帯での同居生活を検討している人は、ぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事でわかること】 ・そもそも完全分離型の二世帯住宅とは ・完全分離型の二世帯住宅のメリット・デメリット ・完全分離型の二世帯住宅で後悔した失敗事例5選 ・完全分離型の二世帯住宅で後悔しない3つのポイント |
そもそも完全分離型の二世帯住宅とは?
完全分離型の二世帯住宅とは、親世帯と子世帯が完全に別々の生活空間を持つ住宅のことです。1つの建物内で各世帯が独立した居住スペースを持ち、玄関やキッチン、バスルームなどの設備も別々に設けられています。
ここでは、完全分離型の二世帯住宅について以下の2点から解説します。
1つずつ見ていきましょう。
同居型との違い
同居型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯が一緒に生活するタイプの住宅です。
同じ玄関から家に這入り、リビングやダイニングなどの主要な生活空間も共有となっています。食事や団らんの時間を親世帯と共有できる点が特長ですが、プライバシーの確保が難しい点がデメリットです。
一方で完全分離型は、二世帯が異なる玄関から家に入りLDKや浴室、洗面なども違うスペースで生活するため、プライバシーや互いの生活リズムを守りやすいといえます。
一部共用型との違い
一部共用型の二世帯住宅は、親世帯と子世帯が浴室やトイレ、洗面などの一部の空間を共有する住宅です。
同じ玄関を使用するものの、LDKは独立しているため食事や団らんなどは別々で行います。一方で浴室などの水回りは共用になっているため、互いに使用する時間を譲り合うことが必要です。
完全分離型の場合は浴室や洗面も完全に分かれているため、自分の好きなタイミングで使用できる点がメリットといえます。
完全分離型の二世帯住宅のメリット・デメリット
ここでは、完全分離型の二世帯住宅におけるメリットとデメリットを解説します。
それぞれ見ていきましょう。
完全分離型のメリット
完全分離型の二世帯住宅には、以下4つのメリットがあります。
- 互いのプライバシーを確保できる
- 生活リズムが違っていても対応できる
- 将来の資産価値を期待できる
- 互いにすぐサポートできる
特に、完全分離型ではプライバシーを確保できる点が特長です。
お風呂やトイレなどの水回りやキッチンなどが完全に分離しているため、互いに水回りで使用しているものを見られたり冷蔵庫内のものをチェックされたりする心配がありません。
玄関も異なるため、もう一方の世帯に帰宅や外出のタイミングを知られたくないというケースでも安心です。
完全分離型のデメリット
一方で、二世帯住宅の完全分離型には次の4点のデメリットが存在します。
- 建設のコストが高い
- ランニングコストが増える
- 互いにコミュニケーションを取る機会が少ない
- ライフスタイルの変化に対応しにくい
特に、キッチンやお風呂、トイレなどが2つになるため、水道の配管費用や修繕費用がその分大きくなります。建設時や完成後の維持費用が高く、その費用を二世帯でどのように負担するかについても十分に相談しておく必要があります。
完全分離型の二世帯住宅で後悔した失敗事例5選
ここでは、完全分離型の二世帯住宅で後悔したと感じてしまった失敗事例を紹介します。
上記5つの事例を1つずつ見ていきましょう。
間取りが自由に決められなかった
完全分離型の住宅は二世帯それぞれの生活空間を独立させるため、どうしても間取りに制約が多くなる傾向があります。限られた敷地のなかで玄関や階段の配置を工夫しなければならないため、希望する広さや間取りを実現できないおそれがあるでしょう。
居住スペースを狭いと感じる場合や使い勝手が悪いと思う場合があるため、どうしても採用したいレイアウトがある場合は二世帯で話し合っておくことが大切です。
お互いの生活音にストレスを感じた
完全分離型とはいえ生活している建物は同じであるため、互いの生活音が気になるケースがあります。特に、生活リズムが異なる場合、夜に寝ている際に足音や水音、テレビの音などが壁を越えて伝わるとストレスを感じてしまうでしょう。
生活リズムの乱れによる家庭内の緊張に繋がるおそれがあるため、互いにストレスを感じたくない場合は住宅の防音性にこだわることが大切です。
友人を家に招きづらくなった
完全分離型の住宅でも、親世帯と子世帯が同じ住宅で生活しているため、互いに友人を家に招く際に気を使ってしまうというケースがあります。
特に、親世帯のプライバシーを尊重して子世帯が友人を呼ぶことを控えるようになったり、親世帯が来客を迎える際に子世帯が気を使ったりする場面があるでしょう。
親世帯や子世帯と別居していたときにはできていた友人との交流が、二世帯住宅に引越ししたことでできなくなってしまうことが考えられます。
光熱費や維持費の負担割合でトラブルになった
完全分離型の住宅では光熱費や維持費が各世帯で発生するため、費用の負担割合をめぐってトラブルになるケースがあります。
世帯ごとに使用している電気や水道の量が異なる場合、電気代や水道代の分担方法についても話し合いが必要です。また、メンテナンス費用についてもどちらが負担するかについて、取り決めを作っておくと安心でしょう。
費用負担に関して意見が合致しないと、世帯間の関係悪化に繋がるおそれがあります。
親の介護の負担が大きかった
親世帯が高齢で将来的に介護が必要になった際には、子世帯の負担が大きくなるでしょう。
二世帯住宅でも完全分離型は住宅の独立性が高いため、同居型や一部共有型と比較して日常的なサポートが難しいといえます。例えば、食事の支度や掃除などで手伝いが必要になる場合、住んでいる空間が別々であるため、手伝いのために移動する必要があります。
結果として、介護負担が大きいと感じてしまうでしょう。
完全分離型の二世帯住宅で後悔しない3つのポイント
ここでは、完全分離型の二世帯住宅で生活する上で、後悔しないためのポイントを解説します。
上記3点を1つずつ見ていきましょう。
要望をできる限り取り入れて家づくりを行う
家づくりを行う際には、各世帯の要望をできる限り取り入れることが大切です。
親世帯と子世帯のそれぞれが互いの生活スタイルや必要な設備を確保できるように、間取りや設備配置について慎重に検討しましょう。
例えば、親世帯が高齢である場合、バリアフリー設計を取り入れることで長期的に生活できる安心感を得られます。また、子世帯ではお子様の成長を見越して柔軟に対応できるスペースを用意しておくことがおすすめです。
家族全員の要望をなるべく取り入れられるように、二世帯と担当のビルダーでしっかり話し合いましょう。
事前に生活する上でのルールを話し合っておく
完全分離型の二世帯住宅でも、生活している敷地や建物は同じであるため、共有部分は発生します。
庭や駐車場など、共有して使用するスペースについては、事前にルールを作って話し合っておく必要があります。また、互いの生活音がストレスになってしまうおそれがあるため、静かに過ごしたい時間帯や来客の訪問タイミングなどについても伝えておくと良いでしょう。
生活する上でのルールを事前に設定しておくことで、トラブルを未然に防いでスムーズに共同生活を送れます。
将来のライフスタイルの変化を見据える
家族のライフスタイルは時間とともに変化するため、将来的な変化を見据えて設計を考えることが大切です。
親世帯が高齢で介護が必要になった場合や子世帯に新しい家族が増えた場合に備えて、柔軟な対応が可能な余裕のある間取りにすることが重要です。
また、将来子世帯が独立した際に賃貸として貸し出したり売却したりする可能性を考え、資産価値を保てる間取りにすることも重要といえます。
完全分離型の二世帯住宅に関するよくある質問
ここでは、完全分離型の二世帯住宅についてよくある質問に回答します。
上記2つの質問をそれぞれ見ていきましょう。
完全分離型の二世帯住宅に向いている人の特徴は?
完全分離型の二世帯住宅は、以下のような特徴を持つ人におすすめです。
- プライバシーを重視したい人
- 将来的な資産価値が欲しい人
- 自立した生活を送りたい人
- 生活リズムが異なる家族とともに暮らしたい人
親世帯や子世帯と過ごしたいけれど自分のプライバシーや生活リズムを確保したい人は、完全分離型の住宅にすることで生活を保ったまま同居生活ができます。
また、将来どちらかの世帯が独立した場合に余った生活空間を賃貸として貸し出しできるため、資産価値がある住宅が欲しいという人にもおすすめといえます。
完全分離型の二世帯住宅を建てるなら何坪が目安?
完全分離型の二世帯住宅を建てるなら、50坪程度が目安といえます。
完全分離型では共有部分がなく、キッチンやダイニング、お風呂や洗面が1つの家に2つ存在するため、その分広い間取りが必要です。
将来的な介護やお子様の成長なども見越して、余裕がある広さを確保しておくと良いでしょう。
完全分離型の二世帯住宅は後悔した事例の確認が重要
この記事では、完全分離型の二世帯住宅について解説しました。
二世帯住宅のなかでも、完全分離型は互いのプライバシーを尊重できる住宅です。それでも、共有部分の使い方や生活リズムについてしっかりと話し合っておく必要があります。
また、将来介護や子ども部屋の設置が発生する可能性も考えて、余裕を持った間取りにしておくことが大切です。
二世帯間や担当のビルダーとしっかり話し合った上で家づくりを行いましょう。