この記事では、注文住宅における和室の必要性について解説します。
注文住宅を建築する際、間取りの候補として和室が挙げられます。全体的に洋風な住宅にする場合でも、和室を取り入れて子どもの遊び場や家族団らんの場として活用するケースが考えられるでしょう。
この記事では、注文住宅で和室を設けるメリットとデメリットをそれぞれ詳しく解説します。和室で採用したいおすすめアイデアも合わせてお伝えするので、注文住宅を建てようと考えている人はぜひこの記事を参考にしてください。
【この記事で分かること】 ・注文住宅に和室は必要か ・注文住宅に和室を設けるメリット・デメリット ・注文住宅の和室で採用したいアイデア |
注文住宅に和室は必要なのか?
ここでは、注文住宅に和室は必要なのかを以下2点から見ていきましょう。
- 和室を設置する人の割合
- 和室の主な用途
1つずつ解説します。
和室を設置する人の割合
住環境研究所の調査によると、2016年度に入居した20〜40代のうち、74.7%の人が住宅に畳が中心となったスペースを設けていると分かりました。これは2010年度入居者の81.1%という割合に比べて、非常に減少しているといえます。
一方で、年代別に割合の推移をまとめた結果、以下のようになりました。
20代 | 30代 | 40代 | 20〜40代全体 | |
2010年度 | 81.4% | 80.6% | 82.4% | 81.1% |
2012年度 | 79.8% | 80.3% | 77.3% | 79.6% |
2014年度 | 79.0% | 79.3% | 77.0% | 78.7% |
2016年度 | 76.0% | 75.6% | 70.6% | 74.7% |
※参考:「20〜40代世帯 間取り実態調査」について丨住環境研究所
上記の表より、若い世代ほど畳がある部屋を採用している割合が高いと分かります。和室などの畳を中心とした部屋を採用する家庭は、今後も高い割合を保ち続けると考えられます。
和室の主な用途
ここでは、以下4点から和室の主な用途を解説します。
- 客間:来客時に使用してゲストをもてなす
- 家族団らんの場:畳の香りを感じながら、家族一緒にリラックスした時間を過ごす
- 子どもの遊び場:畳のやわらかい素材を活かして、子どもが安全に遊べる空間として活用する
- 収納スペース:押入れや床の間を活用して効率的に収納する
これらの用途を参考に、自分に合った和室の使い方を見つけてみましょう。
注文住宅に和室を設けるメリット
注文住宅に和室を設けるメリットとして、以下が挙げられます。
- 調湿作用やリラックス効果がある
- 活用の幅が広い
- 来客時の客間に困らない
- 子どもが転倒しても怪我しにくい
上記4点を1つずつ見ていきましょう。
調湿作用やリラックス効果がある
和室に使用される畳や障子には、自然由来の素材が持つ調湿作用があります。特に、畳は湿気を吸収して乾燥しているときに放出するので、部屋の適度な湿度を保つ効果があります。
また、和室の静かな雰囲気や香りはリラックス効果が高く、心身を癒す空間として活用することがおすすめです。
活用の幅が広い
和室は、さまざまな目的に利用できる空間です。家族団らんの場や子どもの遊び場として使えるだけでなく、仕事や趣味のスペースとしても活用できます。
布団を敷けば簡単に寝室にもなるため、来客を泊める際や家族が増えた際にも対応できます。
来客時の客間に困らない
和室を設けておけば、急な来客があった際の対応に困りません。畳の上に座布団を敷いて背が低い机を用意すれば、和室を客間として利用できます。
また、先述の通り和室には高いリラックス効果があり、来客もゆっくりくつろげる空間になるでしょう。
子どもが転倒しても怪我しにくい
和室の床に使用される畳はやわらかく、子どもが転倒しても怪我をしにくい点が大きなメリットです。ふんわりとしたやさしい感触を感じられるため、安心して遊ばせられるでしょう。
小さな子どもがいる家庭では、安全な遊び場として和室を活用することがおすすめです。
注文住宅に和室を設置するデメリット
注文住宅に和室を設置する際、メリットの一方で以下4つのデメリットも存在します。
- メンテナンス費用や手間がかかる
- 家具が重いと畳に傷が付く
- 汚れが付着すると取りにくい
- 他のスペースが狭くなる
それぞれ解説します。
メンテナンス費用や手間がかかる
和室の畳や障子は、定期的にメンテナンスを実施する必要があります。
畳は5年程度で一度裏返しを行い、裏返しから10〜15年後に新しい畳に交換するのが目安とされています。また、障子の紙は破れやすいため、頻繁に貼り替えが必要です。
メンテナンスにかかる費用や手間が和室を設けるデメリットに感じられるでしょう。
家具が重いと畳に傷が付く
和室の畳はやわらかく、重い家具を置くと畳に傷付いてしまうケースがあります。家具を頻繁に移動する場合、家具の足に保護シールを貼るなどの対策が必要です。
また、重い家具を直接置くと畳が凹んでしまうことがあるため、凹み防止用のマットを敷いてから家具を設置しましょう。
汚れが付着すると取りにくい
畳や障子は、汚れが付着しやすく一度付いてしまうとなかなか取り除けません。飲み物をこぼした場合や飼っているペットが汚してしまった場合などは、シミが残ってしまうでしょう。
こまめに掃除したりシミ防止のカバーを使用したりするなど、長期間汚れが残らないための工夫が大切です。
他のスペースが狭くなる
和室を設置すると、その分他の部屋のスペースが狭くなるケースがあります。床面積の小さい住宅で和室を設置する場合、リビングやダイニングなどのスペースが狭くなってしまうでしょう。
和室を設置する際には、家全体のバランスを考慮しながら慎重に計画することが大切です。
注文住宅の和室で採用したいアイデア
ここでは、注文住宅の和室で採用したいおすすめアイデアを紹介します。
上記4つのアイデアを1つずつ見ていきましょう。
小上がり・スキップフロア
リビングやダイニングとの間に小上がりやスキップフロアを取り入れることで、和室に立体的なアクセントを加えられます。
床を一段高くすると、リビングやダイニングとの区切りを明確にでき、リビングとは違う団らんの場として心地よく過ごせるでしょう。また、スキップフロアの下に収納場所を確保すれば、和室だけでなくリビングで使用するアイテムも収納できます。
<【施工例】自然と家族が繋がる家(高崎市)>
※出典:自然と家族が繋がる家【高崎市】|施工事例|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
シャープさと温かみのある外観が特徴の『自然と家族が繋がる家』は、大きな吹き抜けによる開放感が魅力です。
南向きの明るいキッチンからは、小上がりの和室で遊ぶ子どもの姿が見渡せます。
<【施工例】木の温もりを感じる家(前橋市)>
※出典:木の温もりを感じる家【前橋市】|施工事例|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
『木の温もりを感じる家』は、緑豊かな敷地に建つシンプルモダンな外観が特徴の施工例です。
室内のインテリアはオークの床材をメインに落ち着いた色味で統一されています。
リビング脇の和室には段差が設けられ、メリハリのある空間を演出している点が魅力です。
収納も抜群で、動線がスムーズな点も大きな特徴です。
<【施工例】海暖 -カノン-(栃木県野木町)>
※出典:海暖 -カノン-【栃木県野木町】|施工事例|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
『海暖 -カノン』は、空間のテーマカラーをブルーとホワイトに統一した住宅です。
一見するとシンプルな見た目でありながら、さまざまな素材やアイテムを取り入れることで奥行きのある空間を実現できました。
小上がり式の和室は、穏やかな気持ちで有意義な時間を過ごす空間として活用できます。
スクリーンや引き戸
和室にスクリーンや引き戸を設置すれば、柔軟に空間を活用できます。
必要に応じて部屋を仕切られるため、引き戸を閉めて作業場として使ったり、開放してリビングなどと繋げて広く使ったりできます。また、リビングに隣り合った和室でも、引き戸を閉めれば客間として利用できるため、急な来客時におすすめです。
リビングに隣接した和室
和室をリビングに隣接させると、家族が集まるスペースとして利用しやすくなります。
子どもが和室で遊んでいる様子を見守れるため、リビングで家事や仕事をしているときでも安心です。また、来客が訪れた際も、和室でくつろいでもらいながらリビングにいる家族と会話を楽しめるでしょう。
和室のデザインにリビングとの統一感を持たせれば、家全体を広く感じられます。
<【施工例】書斎から愛車を眺める、軒のある家(桐生市)>
※出典:書斎から愛車を眺める、軒のある家【桐生市】|施工事例|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
「シャープ(無機質)と温もり(木質)の共存」をテーマとした『書斎から愛車を眺める、軒のある家』は、デザインやインテリア、設備に幅広くこだわった家づくりが特徴です。
使い勝手の良いリビング付近には、プライベート空間を演出できる和室が隣接しています。
<【施工例】木の温もりを感じる家(前橋市)>
※出典:木の温もりを感じる家【前橋市】|施工事例|thinks 翼創建 – 群馬・栃木のデザイン住宅・注文住宅
存在感を放つ真っ黒な外観が特徴的な『木の温もりを感じる家』は、玄関周りのウッドパネルや植栽の緑が目立つ自然に溢れた雰囲気が魅力です。
スタイリッシュな外観が目立つ一方で、内装には存在感のある和室が設けられており、良い意味でギャップが感じられます。リビングに隣接した和室からはい草の香りが漂い、自然に囲まれた快適な暮らしが実現できます。
充実した収納
和室に充実した収納スペースを設けることで、季節ごとに使うアイテムや客用の布団を収納しやすくなります。和室に設けられる収納の例として、以下が挙げられます。
- 押入れ:ふすまで区切られた、布団などを収納する空間
- 地袋:飾り棚や仏壇の下の床と接する位置に設けられた空間
- 天袋:天井近くに設置された収納スペース
- 小上がり下:和室を小上がりにして高く作る場合に活用できる空間
和室の収納スペースとしては押入れが一般的ですが、近年は押入れと同じ程度の広さがある天袋を設置するケースが増えています。また、おもちゃや絵本などを子どもの手が届きやすい地袋に収納する方法もおすすめです。
和室に何を収納するか考えながら、収納場所を選びましょう。
注文住宅の和室に関するよくある質問
ここでは、注文住宅の和室に関するよくある質問を紹介します。
- 和室を作る費用相場はどれくらい?
- 和室を作ればよかったと後悔する場面は?
- 和室と畳コーナーはどちらがおすすめ?
順番に回答します。
和室を作る費用相場はどれくらい?
和室を作る場合、使用する素材や広さによって異なりますが、一般的にかかる費用は25万〜50万円程度だとされています。
縁がある畳を選ぶ場合は1畳あたり1万〜1万5,000円程度であるため、6畳にするなら6万〜9万円程度が相場となるでしょう。また、障子は1枚につき2万〜4万円程度かかるため、4枚ほど設置するなら8万〜16万円ほどかかります。
上記に施工費用を合わせて、和室を作るには25万〜50万円が必要だといえます。
和室を作ればよかったと後悔する場面は?
急な来客があった場合は、和室を作ればよかったと後悔する場面だといえます。すぐに寝室や客間として活用できるスペースがあれば、来客にも心地よく過ごしてもらえるでしょう。
また、子どもができたときに遊ぶ場所が狭かったり、家族が増えて寝室が足りなくなったりした場合も、和室を設けなかったことを後悔するケースとして挙げられます。
和室と畳コーナーはどちらがおすすめ?
畳コーナーとは、リビングの一部などに畳を敷いたスペースのことです。和室とは異なり独立したスペースではありませんが、空間を広く見せられる点がメリットとして挙げられます。
畳がある空間を作業場や客間などプライベートな場面で使用したい人には、引き戸やスクリーンなどで他の部屋との仕切りを設けられる和室がおすすめです。
一方で、小さな子どもが遊ぶ様子をリビングから見守りたい人や限られたスペースを有効活用したい人には、畳コーナーが向いています。
注文住宅の和室は暮らしやすい空間づくりの工夫を
この記事では、注文住宅に和室は必要かどうかについて解説しました。
和室は自然由来のリラックス効果が高く、畳がやわらかいため小さな子どもも安心して過ごせる空間です。引き戸や小上がりを設けることで、他の部屋とのアクセントを付けてプライベートな場所にも開放的な場所にも変化します。
寝室や客間などさまざまな用途に活用できるので、ご自身のライフスタイルに応じてぜひ取り入れてみてください。