
この記事では、家事動線の良い間取りを実現させる方法について解説します。
間取りにおいて家事動線を意識すると、快適な暮らしを実現可能です。一方で、家事動線が悪い間取りでは移動距離が長くなったり、動きに無駄が生じたりすることもあるでしょう。
効率的な家事動線を実現するためには、実例を踏まえて良いアイデアを取り入れることが大切です。
この記事では、家事動線を改善するおすすめのアイデアを踏まえて、家事動線の良い間取りを実現した実例も紹介します。効率的な間取りを取り入れ、家事のストレスを減らしましょう。
【この記事でわかること】 ・家事動線の良い間取りを実現させるポイント ・家事動線の良い間取りを実現させるおすすめのアイデア ・家事動線の良い間取りの実例 |
間取り決めに重要となる主な3種類の動線

ここでは、間取りを決める上で重要となる主な3種類の動線について解説します。
- 生活動線
- 家事動線
- 来客動線
順番に見ていきましょう。
生活動線
生活動線とは、家族が日常生活を送る中で自然に通る経路のことです。例えば、玄関からリビング、リビングから寝室、寝室からトイレなどの移動経路が生活動線にあたります。
動線がスムーズであることで、家の中での移動が楽になり、暮らしやすさが増します。
玄関からリビングまでの距離を短くしたり、トイレを寝室の近くに配置したりすることで、移動の負担を減らすことが可能です。
家事動線
家事動線とは、料理や洗濯、掃除などの家事を行う際の移動経路を指します。洗濯を例に挙げると、洗濯機や乾燥機、物干し場、衣類の収納場所などに移動する部分が家事動線にあたります。
家事動線を効率的にすることで、家事の負担を大幅に軽減できるでしょう。
例えば、キッチンと洗面所を近くに配置することで、料理をしながら洗濯機の操作がしやすくなります。また、洗濯機から物干し場、さらにクローゼットまでの距離を短くすることで、洗濯物の移動がスムーズになります。
来客動線
来客動線とは、訪問者が家の中を移動する際の経路のことです。
来客動線はプライベートな空間を避けて、スムーズに客間やリビングに案内できるように設計することが大切です。
例えば、玄関からリビングや客間に直接アクセスできるようにし、家族の寝室やプライベートスペースを通らない動線にすることをおすすめします。
家族のプライバシーを守りつつ、来客をスムーズに迎えられるでしょう。
家事動線の良い間取りを実現させるポイント

ここでは、家事動線の良い間取りを実現させるポイントを5つ紹介します。
- 回遊性のある間取りを意識する
- 水回りを1箇所にまとめる
- 収納スペースを確保する
- コンセントの数・位置を工夫する
- キッチン付近にパントリーを設ける
順番に見ていきましょう。
回遊性のある間取りを意識する
家の中を行き止まりなく動けるような回遊性の高い間取りに設計すると、移動がスムーズになり、家事の効率が上がります。
回遊性が低いと、移動のたびに遠回りが必要になり、家事の効率が悪くなります。例えば、キッチンから洗面所へ行くときにリビングを通らなければならない場合、無駄な動きが増え、短時間で家事を終わらせることは難しいでしょう。
キッチン・洗面所・リビングをスムーズに行き来できるよう、ぐるりと回れる動線を確保するのがポイントです。例えば、キッチンから洗面所を経由してリビングへ戻れる間取りなら、料理や洗濯を同時進行しやすくなります。
水回りを1箇所にまとめる
キッチンや洗面所、お風呂などの水回りを1箇所に集約することで、家事の移動距離が短くなり効率的に作業が行えます。
料理や洗濯、お風呂の準備など、同時並行や連続で行うことは少なくありません。家事のたびに遠い距離を移動するのは、負担が大きいといえます。
キッチンの隣に洗面所を配置すれば、料理をしながら洗濯機の操作が容易になります。お風呂の準備をしながら料理や片付けを行うために移動する手間もかからないため、家事の同時進行がしやすくなるでしょう。
収納スペースを確保する
適切な場所に十分な収納を設けることで、家事の手間を減らせます。収納スペースが不足して洗剤や掃除用具が遠い場所にあると、掃除のたびに移動する手間が増えるでしょう。
キッチン収納が不足すると、調理道具が散らかりやすくなります。そのため、家事動線の近くに必要なものを収納できるスペースを作るのがポイントです。
例えば、洗濯機の近くにタオルや洗剤を収納できるスペースを設けると、必要なものをすぐに取り出せて便利です。また、キッチン近くにパントリーを設置すれば、食品や調理器具の管理がしやすくなります。
コンセントの数・位置を工夫する
家電製品を効率的に使用するためには、コンセントの配置が重要です。
コンセントの配置が不適切だと、家電を使うたびに延長コードを出す必要があったり、位置が悪くて作業しにくかったりします。
延長コードを使いすぎると、タコ足配線になって発熱・発火のリスクが高まるでしょう。
また、キッチンに十分なコンセントがないと炊飯器や電子レンジ、ミキサーなどの家電を同時に使えず不便です。
家事の流れを考え、必要な場所に十分なコンセントを設置することをおすすめします。
例えば、キッチンの作業台近くに複数のコンセントを設けると、ミキサーや炊飯器などを同時に使用できます。また、掃除機を使う際に各部屋でコンセントを探す手間が省けるので、廊下や各部屋の出入り口付近にも配置すると便利です。
キッチン付近にパントリーを設ける
キッチンの近くにパントリー(食品庫)を設置するのもおすすめです。
パントリーがないと、食材や調理器具の収納スペースが不足し、キッチンが散らかりやすくなります。また、食品ストックの管理が難しくなるため、無駄な買い物が増えてしまうでしょう。
キッチンのすぐ近くにパントリーを設けることで、食材や調理器具の収納が効率的に行えます。
買い物から帰ってきた際に、玄関から直接パントリーにアクセスできると、食材の片付けがスムーズです。また、調理中に必要な食材をすぐに取り出せるため、料理の流れがスムーズです。
家事動線の良い間取りを実現させるおすすめのアイデア

家事動線の良い間取りを実現させるおすすめのアイデアを4つ紹介します。
- 土間収納
- ファミリークローゼット
- サンルーム・ランドリールーム
- ワークスペース
順番に見ていきましょう。
土間収納
土間収納とは、玄関から靴を脱がずに出入りできる収納スペースのことです。
土間収納は靴や傘、アウトドア用品などを収納するのに便利です。例えば、ベビーカーやゴルフバッグなど、外で使う大きな道具をそのまま収納できます。
さらに、土間収納を介してキッチンに直接アクセスできる間取りにすると、買い物から帰った際に食材をすぐにキッチンへ運べます。
ファミリークローゼット
ファミリークローゼットとは、家族全員の衣類や荷物を1箇所にまとめて収納できる大きさのクローゼットのことです。
洗濯機や物干し場の近くにファミリークローゼットを配置すれば、洗濯物を乾かした後すぐに収納でき、各部屋に運ぶ手間が省けます。
また、各部屋の収納スペースが小さくて済むため、床面積を効率的に利用できます。
サンルーム・ランドリールーム
サンルームはガラス張りの天井・窓にすることで光を取り込みやすくした部屋で、ランドリールームは洗濯・乾燥・アイロンがけなど、洗濯に関係する家事全般ができる部屋を指します。
サンルームやランドリールームを設置することで、洗濯や乾燥などの家事負担を軽減できるでしょう。
サンルームやランドリールームは天候に左右されずに洗濯物を干せるため、作業が効率化できます。例えば、洗濯機の近くにサンルームを設けると、洗濯から干すまでの動線が短くなり、日当たりが良いため洗濯物も乾きやすくなります。
ワークスペース
ワークスペースは、仕事だけでなく趣味や調べもの、勉強などさまざまな用途で活用可能です。
家事の合間に作業ができるワークスペースをリビングの一角に設けると、時間を有効に活用できます。
例えば、キッチンの近くに小さなデスクスペースを設置すれば、料理中に子供の宿題を見たり、ちょっとした事務作業を行ったりできます。
家事動線の良い間取りの実例

ここでは、翼創建が実現した家事動線の良い間取りの実例を3つ紹介します。
- 家事効率を考えた無駄のない家
- 家事動線が短く作業がしやすい家
- 掃除しやすい収納計画を意識した家
ぜひ、家づくりの参考にしてください。
家事効率を考えた無駄のない家
平屋ならではの無駄のない間取りと、効率的な家事動線が魅力の施工事例を紹介します。

洗面脱衣室とドライスペース、ファミリークロークを繋げることで、共働きでお互いに忙しい中でも心地良く家事をこなせるように工夫されています。
キッチンとリビングが一体化しており、料理をしながらでも家族が過ごしている瞬間を見守れるのも大きな魅力です。家族団らんを重視するオーナー様らしさが溢れた住宅といえます。
家事動線が短く作業がしやすい家
家事動線を短くすることで、作業のしやすさを追求した施工事例もあります。

ダイニングとキッチンを近くに配置したことや食洗機を導入したことで、配膳や片付けの負担が大きく軽減されています。
また、洗濯機の付近にあるベランダを物干し場としても活用できる点も、家事負担を抑える工夫の1つです。
掃除しやすい収納計画を意識した家
より快適に家族との時間を過ごせるように、家事動線の効率性や掃除のしやすい収納計画を意識した施工事例を紹介します。

※出典:満ちる家【高崎市】|翼創建
キッチンのワークトップ下、洗面台の上など、各場所に必要な収納を配置することで、物を片付けやすいように工夫されています。
また、階段下の空間をワークスペースにすることで、家事の合間でも作業が進みやすい工夫がされているのもポイントです。
家事動線を意識した間取りに関するよくある質問

ここでは、家事動線を意識した間取りに関するよくある質問に回答します。
- 30坪の間取りで取り入れるべき家事動線のアイデアは?
- 家事動線が悪い間取りの例は?
疑問の解決にお役立てください。
30坪の間取りで取り入れるべき家事動線のアイデアは?
30坪の間取りでは、以下のアイデアを検討してみてください。
- 水回りの集約
- ファミリークローゼットの設置
- パントリーの設置
キッチンや洗面所、浴室などの水回りを近くに配置することで、移動距離が短くなり家事の効率が高まります。水回りの設備を複数設ける必要がなく、限られたスペースを有効活用できます。
また、家族全員の衣類を1箇所にまとめて収納するスペースを設けると、洗濯物の片付けが楽になるでしょう。各部屋に収納スペースを設ける必要がなくなり、他の用途に活用できます。
限られたスペースを有効に活用し、家事を効率的に行う工夫を行いましょう。
家事動線が悪い間取りの例は?
家事動線が悪い間取りの例は以下のとおりです。
- 水回りが分散している
- 収納スペースが不足している・配置が不適切である
- 動線の行き止まりが多い
キッチンや洗面所、浴室などの水回りが家の各所に点在していると、家事のたびに長い距離を移動する必要が生じ、効率が低下します。
例えば、キッチンと洗濯機が遠く離れていると、料理と洗濯を同時に行う際に不便です。
また、必要な場所に適切な収納がないと、物の出し入れに手間がかかります。掃除道具が各階に配置されておらず、毎回別の階から持ってくる必要があると掃除の効率が悪くなるでしょう。
さらに、家の中で行き止まりが多いと、家事の際に往復が増えます。キッチンから洗面所へ行くのにリビングを経由しなければならない場合、移動距離が増えてしまうため、回遊性の高い間取りにすることが大切です。
家事動線の良い間取りは効率と位置関係が重要

家事動線を意識した間取りであるかどうかによって、日々の家事の効率は大きく異なります。特に、回遊性のある間取りや水回りの集約、収納スペースの配置などを工夫することで、家事の負担を軽減できます。
動線が悪いと移動が増えて家事効率が下がる傾向にあるので、家づくりの際には流れを意識した設計を心掛けましょう。